オペアンプの概要
・Operational Amplifier = 演算増幅器
・OPAMP、オペアンプ
・オペアンプにはバイポーラタイプとCMOSタイプがある。電源端子の呼び方が変わる。
バイポーラタイプだと、VCC(+側)、VEE(-側)
CMOSタイプだと、VDD(+側)、VSS(-側)
・理想オペアンプは、入力抵抗 ∞、出力抵抗 0Ω
・負帰還回路を構成している場合は、イマージナリーショートが成り立つ。
オペアンプの内部構造
・準備中
オペアンプ関連の用語
・両電源オペアンプ
+VCC および -VEEの正負の両方の電源を供給して動作させるオペアンプ。
・単電源オペアンプ、グランドセンスオペアンプ
+VCCのみ or -VEEのみ をいずれかを供給して動作させる。
グランドレベルの入力信号まで動作可能なことからグランドセンスオペアンプとも呼ばれる。
・フルスイング、Rail to Rail(レールツーレール)、フルレンジ、RRIO
汎用の両電源オペアンプおよび単電源オペアンプは、供給した電源電圧の範囲内すべて信号を扱えない。両電源オペアンプの場合、扱える範囲は、例えば VCC-1.5V ~ VEE+1.5Vとか。
これに対して、+VCC~-VEEの電源電圧範囲内すべてを扱えるものを「Rail to Rail」オペアンプと呼ぶ。フルレンジ、フルスイング、RRIO(Rail to Rail Input/Output)などとも呼ばれる。
・入力フルスイング=入力電圧が+VCC~-VEEの範囲すべてで動作可能
・出力フルスイング=出力電圧が+VCC~-VEEの範囲すべてで動作可能
・入出力フルスイング=入出力電圧が+VCC~-VEEの範囲すべてで動作可能
両電源オペアンプを単電源で使用できるのか?
一般には、条件つきで可能。+VCC/2 の電圧を中心とした入出力電圧範囲では使用可能であるが、0V(GND)付近の信号は入出力できない。
また、動作電源範囲に注意が必要。例えば、両電源で±4V以上の製品の場合、単電源では+8V以上が必要となる。
仕様書のパラメータ
絶対最大定格
絶対最大定格を超えると、IC特性劣化や破壊が起こりうる。
瞬間的であっても超えてはならない。
電源電圧 (Supply Voltage)
表記例1) 電源電圧 VCC-VEE : +36[V]
表記例2) 電源電圧 V+/V- : ±18[V]
正側電源端子(VCC/VDD)と負側電源端子(VEE/VSS)に入力できる電圧範囲を示したもの。
本項目はあくまでIC破壊が起きない範囲。仕様書の特性で動作させる場合は、電気的特性の”動作電源電圧”に従うこと。
差動入力電圧(Difference Input Voltage)
表記例1) 差動入力電圧 VID : ±30[V]
表記例2) Difference Input Voltage : | VDD – VSS |
表記例3) 差動入力電圧 VID : +36[V]
+入力端子と-入力端子間に印加できる最大電圧。
極性は重要ではなく、どちらの端子を基準にしても同じ。そのため、絶対値で表現される。
同相入力電圧(Common Mode Input Voltage)
表記例1) 同相入力電圧 VIC : ±15[V]
ただし、電源電圧が±15[V]以下であれば、電源電圧と等しい。
表記例2) 同相入力電圧 Vicm : VEE-0.3[V] ~ VEE+36[V]
+入力端子と-入力端子に同電位を印加したときの最大電圧。入力端子の保護回路構成や寄生素子、入力トランジスタの耐圧などによって決まる。
本項目はあくまでIC破壊が起きない範囲。仕様書の特性で動作させる場合は、電気的特性の”同相入力電圧”に従うこと。
消費電力
保存温度(Storage Temperature Range)
オペアンプに電源を加えず動作させてない時の保管時の周囲温度の範囲。
動作温度(Operating Temperature Range)
オペアンプ動作時の周囲温度の範囲。
動作時はオペアンプ内部の発熱があるので、保存温度より狭い温度範囲で規定される。
最大接合温度(Maximum Junction Temperature)
オペアンプ内部接合部の最大温度。接合部(ジャンクション)はPN接合のことを指す。
製造プロセスによって決定されるが、シリコン半導体だと150℃程度。
保存温度の最大値と同じ。
ピン温度(Lead Temperature)
表記例) +300℃ soldering, 10s
オペアンプのピンをはんだ付けするときの最大温度。
はんだ付けの温度と時間が記載されている。
電気的特性
入力オフセット電圧(Input Offset Voltage)
表記例1) 入力オフセット電圧 VIO : Min 記載なし、Typ 0.5[mV]、Max 6[mV]
+/-入力端子に同じ電圧を入力した場合、理想オペアンプでは出力電圧は0Vとなる。
しかし、実際は出力電圧は0Vにならず、オフセット電圧が出力されており、それを入力換算として表現している。値は0[V]に近いほど、理想的な状態に近い。
出力を0Vにするために、必要な入力電圧差とも言い換えられる。
入力バイアス電流(Input Bias Current)
表記例1) 入力バイアス電流 IB : Min 記載なし、Typ 25[nA]、Max 500[nA]
理想オペアンプでは入力端子には電流は流れない。
しかし、実際は微小な電流が流れ込む or 流れ出すので、これを表現している。
+入力端子と-入力端子の入力バイアス電流は全く同じ値ではないので、平均値で定義。
入力オフセット電流(Input Offset Current)
表記例1) 入力オフセット電流 Iio : Min 記載なし、Typ 5[nA]、Max 200[nA]
前述の通り、+入力端子と-入力端子の入力バイアス電流は全く同じ値ではない。
そのため、+側と-側の入力バイアス電流の差分を表現したもの。
開放電圧利得(Open loop Voltage Gain)
負帰還が無い状態での、+入力端子と-入力端子の差動電圧に対する増幅率を示す。
同相信号除去比(Common Mode Rejection Ratio = CMRR)
表記例1) 同相信号除去比 CMRR : Min 65[dB]、Typ 80[dB]、Max なし
同相入力電圧の変動があったときに、その変動を除去できる能力を示す。数値が高いほど、性能がいい。
例えば、+端子側と-端子側の共通したループ上でノイズが発生したとすると、同相のノイズ電圧が+/-端子に入力されることになる(コモンモード・ノイズ)。特に、差動増幅回路(減算回路)においては、コモンモード・ノイズを除去することが精度につながるため、重要なパラメータ。
電源電圧除去比(Power Supply Rejection Ratio = PSRR)
電源端子の電圧に変動があった時に、その変動を除去できる能力を示す。数値が高いほど、性能がいい。
実際のオペアンプは、電源電圧の変動によって、入力オフセット電圧が変動して、出力が変化する。
消費電流
スルーレート
表記例1) SR : Min なし、Typ 2[V/us]、Max なし
オペアンプの動作速度を示す。規定された時間当たりに変化できる電圧の割合。
入力に立上り/立下りが急峻な方形波パルスを印加しても、出力電圧はこのスルーレートによって時間的な電圧変化に制限が存在する。
スルーレートは「立上り」もしくは「立下り」の遅い方で規定される。
利得帯域幅積、GBW = Gain BandWidth
想定している閉ループGainが、どの周波数帯域まで確保できるのかを計算する際に使用。
例えば、GBW = 1MHzのアンプをGain 100倍で使用する場合
1[MHz] / 100[倍] = 10[kHz] となる。
正確には、Gain vs Frequencyのグラフを読み取った方がいい。
選定に関する情報
オペアンプの主要メーカー
ネット検索やECサイトで調べて、パッと出てきたメーカーは下記あたり。
・日清紡マイクロデバイス
・ローム
・アナログデバイセズ
・OnSemi
・Texas Instruments
・Microchip Technology
・ST Micro Electronics
オペアンプの分類
●用途別
部品メーカーによって、分類の基準が異なる。
高速/広帯域
・日清紡/ローム – GBW≧5MHz
・Analog Devices/TI/STマイクロ – GBW≧50MHz
低オフセット/高精度
・ローム – 入力オフセット電圧 ≦ 2.5mV
・TI/STマイクロ – 入力オフセット電圧 < 1mV
ローノイズ
・Analog Devices – 入力換算雑音電圧 ≦ 10[nV/√Hz]
・ローム – 入力換算雑音電圧 ≦ 12[nV/√Hz]
・日清紡 – 入力換算雑音電圧 ≦ 15[nV/√Hz]
●電源供給の方式別
両電源、単電源、フルスイング
●内部構造(内部の半導体)別
バイポーラ、CMOS