フーリエ解析

フーリエ級数

※なんとなくの理解度で書いてるメモ書きなので、厳密な数学を知りたい方は教科書をご参照ください…

■まずはフーリエ級数の例 (イメージを掴む)

 ある関数 f(θ) をサイン、コサインの足し算で表せるというもの。
例えば、方形波は sin の奇数倍の足し合わせで表現できる。

図1 方形波

方形波をフーリエ級数展開すると

図2 方形波のフーリエ級数

 方形波のフーリエ級数をExcelで計算してみた。図2のフーリエ級数において、計算する項数を増やすほど、方形波に近づいていくことがわかる。

↓第2項のsin3θの項まで計算したとき

図3 フーリエ級数の第2項まで計算

↓第4項のsin7θの項まで計算したとき

図4 フーリエ級数の第4項まで計算

↓第8項のsin15θの項まで計算したとき

図5 フーリエ級数の第8項まで計算

 上記のように、複雑な波形であっても、sinやcosの足し合わせで表現できるのがフーリエ級数であり、電気工学の分野ではとても重要になってくる。(別記事で触れる予定)

 では、フーリエ級数をこれから導出していく。

■奇関数・偶関数

 フーリエ級数を導く上で、奇関数と偶関数の性質を利用するので説明。

●奇関数
  原点を中心にして点対称になる関数 f(x) = -f(-x)
  例えば、下記の通り。

図6 奇関数

  奇関数は -a ~ +a の区間で積分すると0になる。
  プラスの領域とマイナスの領域が同じ面積だから。

図7 奇関数の積分

●偶関数
  y軸に対して対称の関係になる関数 f(x) = f(-x)
  例えば、下記の通り。

図8 偶関数

  偶関数は -a ~ +a の区間で積分する場合、
  0 ~ +a の区間で積分したものを2倍した値と同じになる。
  y軸の左側も、右側も、(符号も含めて)同じ面積となっているため。

図9 偶関数の積分

●奇関数と偶関数の積
  奇関数と偶関数は掛け算すると、下記の通り。
  [1] 奇関数 × 奇関数 = 偶関数
  [2] 奇関数 × 偶関数 = 奇関数
  [3] 偶関数 × 偶関数 = 偶関数
  例えば、
  奇関数 : y = x
  偶関数 : y = 1
  として、それぞれの掛け算を考えてみると、イメージしやすい。

■三角関数の直交性

 フーリエ級数を導く上で、三角関数の直交性を利用するので説明。”関数を掛け算して積分すると0になる” = “それぞれの関数は直交している” と表現する。

●sin × sin の場合
  下図の sin × sin の 式について考えてみる。m, nは整数とする。

図10

 [1] m ≠ n の場合
  積分は0になる。

図11

 [2] m = n の場合
  積分はπになる。

図12

上記の結果をまとめると、下式のようになる。
右辺の記号はクロネッカーのデルタで、m=nのときは1、m≠nのときは0

図13

●cos × cos の場合
 sin × sin と同様に考えればOK。

図14

●sin × cos の場合
 sin は奇関数、cos は偶関数であり、その積は奇関数。
 奇関数を -a ~ +a の範囲で積分すると0になるので、下式の通り。

図15

 上の例だと、sin(mθ) と cos(nθ) は直交していることになる。

■フーリエ級数

 ある関数 f(θ) をサインとコサインの足し算で表せたとすると、一般式は下記のようになるはず。

図16

 ここで、定数Cと係数a, bがわかれば、関数 f(θ) をサインとコサインの足し算で表せるということになる。

●係数 a を求める
 a1 を求める。両辺に cosθ を掛けて、-π~+π まで積分。

図17

 この調子で、
 a2 を求めるときは、 両辺に cos2θ を掛けて、-π~+π まで積分。
 a3 を求めるときは、 両辺に cos3θ を掛けて、-π~+π まで積分。
 と考えていけばOK。まとめると、

図18

●係数 b を求める
 考え方は係数 a を求めるときと同じで、
 b1 を求めるときは、 両辺に sinθ を掛けて、-π~+π まで積分。
 b2 を求めるときは、 両辺に sin2θ を掛けて、-π~+π まで積分。
 と考えていけばOK。まとめると、

図19

●定数 C を求める
 両辺を -π~+π まで積分。すると、cosおよびsinの積分は0になるので、定数Cの項だけ残る。

図20

 定数Cは求まったが、Cは係数 a の形式に合わせて書くことができる。図18の係数 a の数式で、k=0の場合を考えると、

図21

●フーリエ級数
 ここまでの内容をまとめよう。ある関数 f(θ) はサイン、コサインの足し合わせで表すことができる。これを f(θ) のフーリエ級数 または フーリエ級数展開という。

図22

 このとき f(θ) から求められる係数 a, b をフーリエ係数という。

図23

 別記事で、いくつかの関数のフーリエ級数展開を、実際にやってみることにする。