部品知識

半導体とは

■抵抗率

半導体は、「導体」と「絶縁体」の中間的な電気抵抗率を示す物質である。
・導体 : 電気をよく通す
・絶縁体:電気を通さない
・半導体:条件によって、”絶縁体に近い高抵抗値” や” 導体といっていいほど低い抵抗値” を示す

■電気の流れやすさについて (自由電子)

 原子は最外殻軌道に8個の電子を持とうとする性質があり、8個のときが安定した状態。

 物質は、複数の原子が集合して構成される。他の原子が近接すると、最外殻軌道の電子が他の原子から影響を一番強く受ける。

 最外殻軌道に一つだけ電子を持つ原子からなる物質は、銀や銅がある。これらは最外殻の電子を放出して、結果として最外殻電子が8個の安定した状態になろうとする。よって、自由電子を多く持つため、導体として振る舞う。

 ゴムや二酸化シリコンは、複数の原子が互いに電子を共有して、実質的に最外殻電子8個の安定状態になっている。そのため、自由電子を持たない絶縁体として振る舞う。

■エネルギーバンド

 絶縁体であっても外部から光や熱などのエネルギーを与えると、最外殻電子が飛び出すことがある。抜け殻は、元々電気的に中性であったところから電子が失われるので正の電荷をもつようになったと見なせて、これを正孔(ホール)という。つまり、自由電子と正孔のペアが生じるので電流が流れるようになる。ちなみに自由電子と正孔といった電気を通す働きをするものを総称してキャリアと呼ぶ。

 どれだけエネルギーを与えれば自由電子が飛び出すのかを下図で表している。

・価電子帯:動けない電子のエネルギー状態
・伝導帯:自由に動ける電子のエネルギー状態
・禁止帯:電子が存在しえないエネルギー状態
 禁止帯の幅をバンドギャップといい、これが自由電子や正孔を発生させるのに必要なエネルギーを表す。このギャップが大きいほど安定した絶縁体。対して、ギャップが小さいものを半導体とよぶ。


 代表的な半導体としては、シリコンやゲルマニウムが使用される。いずれも最外殻電子は4個の原子であるが、その結晶は互いに電子を共有して、結果的に最外殻電子が8個になって安定している状態である。そのため、禁止帯をもっている絶縁体と同じような構造になっている。
 しかし、シリコンやゲルマニウムはバンドギャップが小さいことが知られている。そのため、低温下では絶縁体のようにふるまうが、25℃などの常温下では導体とも絶縁体とも言えない中途半端な抵抗値を示す。半導体は
バンドギャップが小さいため、熱や光などの影響を受けやすい不安定な性質を持つが、逆にその性質を利用することによって、様々な半導体製品が作られている。

■N型半導体 / P型半導体 (不純物半導体)

 シリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)の結晶で、不純物が入っていない(とみなせる)純度の高い半導体のことを真性半導体という。

 逆に、シリコンなどの純粋な結晶中に、意図的に不純物を添加することでつくられている半導体を不純物半導体といい、下記のN型半導体とP型半導体がある。

●N型半導体
 シリコンなどの純粋な結晶中に、最外殻軌道に5個の電子を持つ不純物を添加する。不純物の例としては、リン、ヒ素、アンチモンなどがある。このとき、不純物の電子が1個余分となるため、自由電子が生じることになる。つまり、5価の不純物の添加量を増やすことで、自由電子が増加して抵抗値が減少することになる。自由電子を発生させる不純物をドナーと呼ぶ。

●P型半導体
  シリコンなどの純粋な結晶中に、最外殻軌道に3個の電子を持つ不純物を添加する。不純物の例としては、アルミニウム、ガリウム、インジウムなどがある。このとき、不純物の電子が1個不足状態となるため、正孔が生じることになる。つまり、3価の不純物の添加量を増やすことで、正孔が増加して抵抗値が減少することになる。正孔を発生させる不純物をアクセプタと呼ぶ。

 上記のN型半導体やP型半導体を半導体を組み合わせることによって、ダイオードやトランジスタなどの各種半導体デバイスはつくられている。